『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹 感想
多崎つくるという名前も重要なワードだったかと思います。昔の中国では本名は一部の人にしか教えないというルールのようなものがあったと本で読んだことがあります。名前は大切だから無闇に教えたら危ないということだった気がします。(曖昧な記憶なので全く違っていたかも)多崎作はほとんど多崎つくるという表記でした。中国のことは関係ないにしても、彼の自分の名前(苗字)に対するコンプレックスと、つくるという名前に沿って生きている姿が印象に残りました。別につくるだから、駅を作っているという訳ではないと思うけど。
つくるくん本人の自分に対する評価と他の人から見た評価の違いに、アッとさせられました。自分は空っぽだと何の特徴もないと、何度もつくるくんは言っているけど、誰1人それに同意しないところが印象に残っています。
この小説はけっこう疑問を残したままに終わるんだなぁとも思いました。結局、緑川はどうなったの?灰田くんはどこにいるの?沙羅とあのおじさんは?6本指の女性はシロなの?と、いま思い浮かぶだけでも4つ。個人的にはこれだけ疑問はあるけれど、読んだ後さっぱりしました。別にわからないままでもいいかなと。多分、もっと真剣に何回も読めば少しずつ取りこぼしていた部分も見えてきて、解決の手がかりになるのではとも思います。テキトーに読んでいた部分があるところは反省です。
クロと沙羅の強い部分は素敵だったなぁと思います。彼女たちの喋り方はどこか似ていて、つくるくんは自然とこの二人の言うことを受け入れるというか、納得するというか、従っているところあったと思います。
村上春樹さんの作品をこうやって読んでみると、想像していたより全然とっつきやすい!と思いました。6本指について、駅長とつくるくんと後輩の3人で話し合っていう場面はとても楽しかったです!6本指で検索したいけど勇気がでない、、、。ただ、面白かったは面白かったんですけど、また読みたいとは思わなかったです。でも、村上春樹さんの他の作品を読んでみたいと改めて思いました。