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『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹 感想

こんにちは!今日は『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の感想です。感想といっても、私が思ったことをつらつらと書いているだけ。
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恥ずかしながら、私がこうやって自主的に村上春樹さんの作品を読むのは今回が初めてでした。授業で『氷男』を読んだりといったことはありましたが、なかなか自分から読む機会はありませんでした。でも、ずっと読んでみたいと思っていたので、図書館にあった時は本当にラッキーでした。


この小説を読んでいて1番最初の興奮したポイントは、仲良し5人組のうち4人が名前に色が入っているというところ。この時点ではこれが色彩を持たないということか!と感動しました。また、私の勝手なイメージで有名な作家さんが書く小説は小難しいところがあると決めつけていたので、村上春樹さんて意外とこういう発想するんだぁと思いました。ミスター・ブルーなどの表現の仕方は、非常にワクワクさせられました。男の子が赤と青、女の子が白と黒という組み合わせもしびれました。正直、なんでその色にしたのかまだわからないけど、ピアノの鍵盤や、未来の暗さだったりを反映しているような気がします。
また、灰田くんに白にも黒にも近いグレーを持ってきているところも本当にドキドキしました。灰田くんといるとき、つくるはシロとクロのことを考えはするけど、アカとアオのことはあまり考えていなかったのではないかと思います。夢の中で、シロとクロとそして灰田くんと性行為をするところは衝撃的でした。ここで灰田くん!?と、とにかくびっくりしましたし、面白かったです。灰田くんはどうも、シロとクロよりに描かれていたような気がします。


多崎つくるという名前も重要なワードだったかと思います。昔の中国では本名は一部の人にしか教えないというルールのようなものがあったと本で読んだことがあります。名前は大切だから無闇に教えたら危ないということだった気がします。(曖昧な記憶なので全く違っていたかも)多崎作はほとんど多崎つくるという表記でした。中国のことは関係ないにしても、彼の自分の名前(苗字)に対するコンプレックスと、つくるという名前に沿って生きている姿が印象に残りました。別につくるだから、駅を作っているという訳ではないと思うけど。


つくるくん本人の自分に対する評価と他の人から見た評価の違いに、アッとさせられました。自分は空っぽだと何の特徴もないと、何度もつくるくんは言っているけど、誰1人それに同意しないところが印象に残っています。


この小説はけっこう疑問を残したままに終わるんだなぁとも思いました。結局、緑川はどうなったの?灰田くんはどこにいるの?沙羅とあのおじさんは?6本指の女性はシロなの?と、いま思い浮かぶだけでも4つ。個人的にはこれだけ疑問はあるけれど、読んだ後さっぱりしました。別にわからないままでもいいかなと。多分、もっと真剣に何回も読めば少しずつ取りこぼしていた部分も見えてきて、解決の手がかりになるのではとも思います。テキトーに読んでいた部分があるところは反省です。



クロと沙羅の強い部分は素敵だったなぁと思います。彼女たちの喋り方はどこか似ていて、つくるくんは自然とこの二人の言うことを受け入れるというか、納得するというか、従っているところあったと思います。


村上春樹さんの作品をこうやって読んでみると、想像していたより全然とっつきやすい!と思いました。6本指について、駅長とつくるくんと後輩の3人で話し合っていう場面はとても楽しかったです!6本指で検索したいけど勇気がでない、、、。ただ、面白かったは面白かったんですけど、また読みたいとは思わなかったです。でも、村上春樹さんの他の作品を読んでみたいと改めて思いました。